仲間をつくること
一流の仕事の共通点
〝一流のデザインの背後には、プロジェクト、製品、建物に命を吹きこむデザインチームが必ずいる。〟そして〝人生とは、ほかのひとびとと共同でデザインし、生きていくもの〟という道理にいきつく。
わたしたちは他者とのコラボレーションや関係のなかで人生をデザインする。なぜか?「わたしたち」は常に「わたし」よりも強力だから ー それだけだ。1
北欧、そして世界中に多大なる影響を与えた、ハンス・J・ウェグナーのデザイン
氏の持論は「家具のデザイナーは優れた職人とチームワークを組まなければならない」というもので、実際に彼にはニールス・トムセン、アイナー・ペデルセンという職人のパートナーがいました。
材木は各々素材の性格、収縮までをも知って、適材適所に使うことは必然と捉えていました。例えば、椅子の脚に丸棒を使用するケースが多いのは、角材に比べ木目の違いが目立たないためであり、変形の度合いが少ないためといわれています。職人といわれるような人たちは、体で知っていて、ウェグナーはそのような生き物の木材を知る職人の技術を最大限に尊重し、発揮させた人でもありました。その職人とのパートナーシップを通してウェグナーもまた、木に対する眼力を養っていったと思われます。
「ピュリストであり続けた、デザイナー 柳宗理」2
〈デザインと創造〉3
・デザインの至上目的は、人類の用途の為にということである。
・創造のないところに本当の意味のデザインはない。従って創造のないものは模倣であって、本当のデザインとは言い得ない。
・デザインの形態美は、表面上のお化粧作りからだけでは出て来ない。内部から滲み出たものである。
・本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない。
・優れたデザイナーは、自然の法則になるたけ従い、出来るだけそれを利用した人である。
・デザインはまた、創作活動である。創作には発想力を必要とする。従ってデザイナーはイマジネーションの豊かな人でなければならない。頭脳が固くては駄目である。
創作活動の閃きを得るには、ある契機が必要である。デザイナーはこの契機を得るべく、環境作りに努力しなければならない。
・デザインにおける意識活動も、創作活動も用という絆にしっかりと結びつけられていて、そこから逸脱することは絶対に許されない。もし逸脱すれば、もはやそれはデザインではない。
〈デザインの協力者〉4
・デザインは一人でするものではない。三人寄れば文珠の智恵と言うが、優秀な協力者であれば、何人いてもよい。二人寄っても数倍の名案が出るものなのだ。
・デザイナーには特に技術者の協力が必要である。良いデザインを生み出すには、出来るだけ良い技術者をピックアップし、その技術者を如何に協力させるかにかかっている。
・優れたデザイナーほど技術者の意見をよく聞くものである。
・デザイナーは社会的に孤立してはならない。良いデザインを世に出すためには、あらゆる人とつき合わねばならない。企業者とか、或いは政治家等にも、然らざれば、彼のデザインは世に到底実現し得ないであろう。
・良いデザインは優れたデザイナーのみではうまれえない。その製品を造る企業者、或いは製造業者、その製品を販売する販売業者、そしてその製品を使用するユーザーが良くなければ、良いデザインはこの世に出現し得ない。
- 『スタンフォード式人生デザイン講座』ビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス / 早川書房 ↩︎
- 『シャルロット・ペリアン自伝』シャルロット・ペリアン著 /みすず書房 ※P170 /「… 宗理にとって、父親は過去を現していた。宗理は現在と未来を無条件に指示した。(これらの手工芸品が工業生産品よりも美しいと言わねばならないのはなぜか?)宗理はピュリストであり、ピュリストであり続け、著名な〝デザイナー〟になった。その創作は線の純粋さとフォルムの有機性を保っている。」 ↩︎
- 『デザイン考』(デザイン – 柳宗理の作品と考え)1983 / 『Yanagi Design』編者:(財)柳工業デザイン研究会 2008 ↩︎
- 『デザイン考』(デザイン – 柳宗理の作品と考え)1983/ 『Yanagi Design』編者:(財)柳工業デザイン研究会 2008 ↩︎