「The Imagineering Story」第17章 [ 要約 ] :第17章は1990年代のイマジニアリング部門における技術革新とR&D(研究開発)の成長に焦点を当てています。特に、ブラン・フェレンがR&D部門のリーダーとして加わり、「タワー・オブ・テラー」と「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」という2つの革新的なアトラクションの開発に注目しています。これらのアトラクションは、従来のライドシステムに比べて格段に複雑で先進的な技術を駆使し、ゲストに没入感のある体験を提供しました。章の最後では、ディズニー社の重要な経営幹部であり、イマジニアリングの強力な支援者だったフランク・ウェルズのヘリコプター事故死が、会社の方向性と雰囲気に大きな影響を与えたことが語られています。
第17章「上昇」GOING UP
I. ストーリーテリングのスキルセット
– マイケル・アイズナーとフランク・ウェルズの指導の下、イマジニアリングのR&D部門は1987年の4人から1990年代初頭には40人のチームに成長
– デイブ・フィンクがR&D部門を率い、映像、アニメーション、オーディオ、コンピューターシステム、特殊効果などの分野に焦点
– フランク・ウェルズは新技術や新たな経験に対する強い関心を持ち、R&D部門に頻繁に足を運んだ
– 1993年、ディズニーは技術イノベーターであるブラン・フェレンの会社「アソシエイツ・アンド・フェレン」を約2000万ドルで買収
– フェレンは舞台、映画、ブロードウェイショーの特殊効果の分野で実績を持ち、芸術と技術の融合を得意としていた
– フェレンはストーリーテリングの重要性を強調し、「コンピューターはストーリーテリングのツールとして見ると、進むべき方向がより明確になる」と述べた
II. 恐怖とテクノロジー
– ダニエル・ジュエが1990年にイマジニアリングに加わり、「タワー・オブ・テラー」のショーセットデザイナーに任命される
– 「タワー・オブ・テラー」はケビン・ラファティが主導し、「トワイライト・ゾーン」の世界観を取り入れた恐怖のアトラクション
– 革新的な点は、エレベーターが垂直方向だけでなく水平方向にも動く仕組みで、ディズニー初のトラックレス・ライドシステムを採用
– オハイオの電気工学会社とトライアド・サービスが協力して車両設計を行い、フェレンのR&D部門が投影効果を担当
– アトラクションはハリウッドのビルトモアホテルなどをモデルにした廃墟のホテルとして設計され、綿密なバックストーリーを持つ
– 1994年7月22日に開業し、「ウォルト・ディズニー・ワールドで最も長く、速く、急な絶叫ライド」として好評を博した
– アイズナーは反対意見を押し切って多額の投資を行い、開業後の入場者数が15%増加する成果に
III. パークの外にホームランを打つ
– エド・フリッツは自動車エンジニアとしてトライアド・サービスで働いていたが、「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」の車両開発のためにイマジニアリングに招かれる
– トニー・バクスターが率いるチームは、モーションシミュレーターを車に搭載して走行させるという革新的なアイデアを追求
– 「エンハンスト・モーション・ビークル」と呼ばれる車両は、バレンシアの倉庫で何度も何度もテストされた
– この乗り物は実際には平滑な床の上を滑るように進むが、モーションベースによって激しい揺れやジャンプを感じさせる
– インディ・ジョーンズの映画の象徴的な「巨大な転がるボール」のシーンは、部屋自体が動くという錯覚を利用して実現
– 音響効果と車両の動きを完璧に同期させるため、新しいデジタルコントローラー技術が開発された
– アトラクションは従来のアドベンチャーランドの範囲を超え、以前は駐車場だった場所に建設された
– 1995年1月29日のスーパーボウルのハーフタイムショーで宣伝され、3月3日に正式にオープンして大ヒットとなった
IV. 墜落
– 1994年4月3日、フランク・ウェルズがユタ州のヘリスキー中にヘリコプター事故で死亡
– 62歳で亡くなったウェルズは、イマジニアリングの「メンター、最大の応援者、ビジネスにおける親友」と見なされていた
– ウェルズの死後、会社の調子と雰囲気が大きく変化し、「熱狂的な時代」から「より事務的で分析的」な時代へと移行
– ウェルズとアイズナーのビジョン豊かなリーダーシップのバランスが失われ、イマジニアリング部門は前途多難な時代に直面することになった
この章から読み取れる重要なポイント:
1. 技術革新とストーリーテリングの融合がイマジニアリングの核心であり、ブラン・フェレンのR&D部門の拡大はその取り組みを強化した
2. 「タワー・オブ・テラー」と「インディ・ジョーンズ・アドベンチャー」は単なるスリルライドを超え、没入型のストーリー体験を提供する革新的なアトラクションとなった
3. イマジニアリングの特徴は、既存技術を「誤用」して新しい体験を創造する能力と、問題解決への執着心にある
4. 技術開発は反復的なプロセスであり、「失敗」を通じてイノベーションが生まれる(ジョン・スノディの言葉「多くの失敗を通じて成功が生まれる」)
5. 複雑なアトラクション開発には多方面の専門家の協力が不可欠であり、自動車エンジニア、コンピューターアニメーター、音響技術者などの連携が重要
6. リーダーシップの変化が組織文化に大きな影響を与え、フランク・ウェルズの死はイマジニアリングの「熱狂的な時代」の終わりを象徴した
7. 1990年代半ばのこれらの技術革新(トラックレスシステム、ランダム化されたライド体験、同期する音響効果など)は、その後の数十年にわたるディズニーパークの開発に大きな影響を与えた