第20章 『生き物の楽園』The Imagineering Story

「ディズニー・アニマルキングダム・テーマパークの開発を始めた頃は、本当に本当に怖かったんです。なぜなら、それは信じられないほど新しく、異質で、恐ろしく、野心的な試みだったからです。本当に傲慢な試みだったんです。私たちの事業全体が、それが何なのかを既に理解していました。ディズニー社は既にその事業内容を知っていました。…(既に確立された)製品があったのに、私たちは全く未知のものを作ろうとしているんです。」—ジョー・ローデ

「The Imagineering Story」第20章 [ 要約 ] 本章では、ディズニー・アニマルキングダムの構想から開園までの道のりが描かれています。若きイマジニア、ジョー・ロードが率いるチームは、従来の動物園とも、テーマパークとも異なる新しい体験を作り出すことに挑戦しました。アフリカやアジアなどの研究旅行を重ね、生き物と風景を一体として捉える「自然の本質的価値」を中心テーマに据え、動物の保護と教育を融合させた革新的なパークを実現しました。1998年4月22日(アースデイ)にオープンしたアニマルキングダムは、本物の動物、古代の動物、想像上の動物を一つの「王国」に集め、訪れる人々に驚きと学びの機会を提供しています。

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第20章「生き物の楽園」CREATURE COMFORTS

I. ジョー・ロードの提案と資金確保への挑戦

   – ロードは動物をテーマにしたパーク構想を経営陣に提案するため、実際のベンガルタイガーを会議室に連れ込む大胆な演出を行う

   – 「動物と対面した時の興奮」を実証するこの戦略は効果を発揮し、プロジェクト継続の許可を得る

   – 当初は6〜8人の小さなチームから始まり、徐々に資金と承認を獲得していった

II. ジョー・ロードの背景と「長髪の少年」

   – ハワイで育ち、カリフォルニアで映画の撮影現場を見て育った

   – 若い頃から動物に魅了され、幼少期には小さな生き物のコレクションを持っていた

   – 1980年に入社し、EPCOTのメキシコ館やノルウェー館で経験を積む

   – マイケル・アイズナーは彼の長髪と若々しい外見を気に入り、イマジニアリングの代弁者的役割を与えた

III. パークの設計理念

   – 伝統的なテーマパークの魅力、EPCOT式の教育、そして生きた動物を「動物園」を連想させない方法で融合

   – 「自然の本質的価値」という中心テーマを据え、建築物が自然の力に屈する様子を表現

   – 架空の場所(アフリカのハランベ村やアジアのアナンダプル王国)を創造し、特定の場所や時代に縛られない普遍的な体験を提供

   – 研究旅行で得た実体験と詳細な観察に基づく本物らしさを追求

IV. 風景と植物の重要性

   – 動物の生息地となる風景を作るため、約4百万本の植物を6大陸から集め、150万立方ヤードの土を輸入

   – 4年をかけて自前の樹木農場で育てた10万本の木を植え、1,800種の植物と350種の草を配置

   – ランドスケープデザイナーのポール・コムストックが中心となって、アフリカやアジアの自然環境を再現

V. 生き物の導入と保護活動

   – 動物の福祉を守るため、著名な専門家やジェーン・グッドールなどの権威を顧問に迎える

   – 1995年にディズニー・コンサベーション・ファンドを設立し、年間100万ドルの助成金を提供

   – 1,000頭の動物のほとんどはアメリカ国内の動物園から調達し、隔離期間を経てパークに導入

   – 動物たちの生息地には柵や堀などの境界があるが、視線計画によってゲストからは見えないよう工夫

VI. 主要アトラクションと開園

   – キリマンジャロ・サファリ:100エーカー以上の広大な敷地に30種以上の動物が生息

   – 「カウントダウン・トゥ・エクスティンクション」:インディアナ・ジョーンズの乗り物技術を使った恐竜をテーマにしたアトラクション

   – 1998年4月22日(アースデイ)に正式オープン、初日の朝9時には定員に達し入場制限

   – 翌年にはアジアエリアが拡張され、カリ・リバー・ラピッドなどの新アトラクションが追加

   – 1999年には世界初の仮想待ち列システム「ファストパス」を導入

この章から読み取れる重要なポイント:

1. アニマルキングダムは、単なる動物園やテーマパークを超えた新しい体験を創造するという、イマジニアリングにとって大胆かつ前例のない挑戦だった

2. 「自然の本質的価値」という中心テーマのもと、建築物は「デザイナーの巧みさ」ではなく「自然の力との関係」を表現することが重視された

3. アフリカやアジアへの研究旅行を通じて得られた本物の感覚と細部への注意が、パークの本物らしさと没入感を生み出した

4. 動物の福祉と保全活動を最優先する姿勢は、批判をかわすだけでなく、ジェーン・グッドールなどの権威ある支持者を得ることにつながった

5. 「本物の動物、古代の動物、想像上の動物」という三つの要素を一つの「王国」に統合することで、教育と娯楽のバランスを取ったユニークな体験を提供している

6. アニマルキングダムの成功は、動物たちが良い環境で暮らせるだけでなく、保全活動を通じて野生の動物たちにも良い影響を与えている​​​​​​​​​​​​​​​​

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