第26章 『拡大と提供』The Imagineering Story

「根本的に壊れていて、修復が必要な問題に取り組んでいました。まさに私たちのすぐ近く、あるいはディズニーランドのすぐ近くで。だから私は、やってみようと決心したのです。」—ボブ・アイガー

「The Imagineering Story」第26章 [ 要約 ] この章では、ボブ・アイガーCEOの下でのディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーの大規模な改装と拡張計画について描かれています。開園当初から期待に応えられなかった同パークを、ディズニーらしい魅力にあふれた場所へと変えるため、イマジニアたちは「ブエナ・ビスタ・ストリート」の開発、「ワールド・オブ・カラー」ショーの制作、そして「カーズランド」の建設に取り組みました。これらのプロジェクトは、単なる新アトラクション追加ではなく、パーク全体の雰囲気を変える「キャンペーン」として位置づけられ、最終的に投資に見合う以上の成果をもたらしました。

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第26章「拡大と提供」EXPAND AND DELIVER

I. 新たな冒険

1923年、若きウォルト・ディズニーがロサンゼルスに移り、兄ロイと共にディズニー・カンパニーを設立した歴史的背景が描かれています。

– この時代の雰囲気を再現した「ブエナ・ビスタ・ストリート」の開発が、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーの改装計画の第一歩となりました。

– 開園当初の「サンシャイン・プラザ」は特定の時代感がなく、「別の場所、別の時代」へ誘うディズニーパークの本質が欠けていました。

– ボブ・アイガーCEOは、財務分析が「投資に見合わない」と示したにもかかわらず、ディズニーランドに隣接するパークとしての価値を高めるため、大規模な改装を決断しました。

– ボブ・ウェイスがイマジニアリングに復帰し、改装を「改修」ではなく「キャンペーン」として位置づけました。

II. クラシックを演じる

– カリフォルニアをテーマにした既存アトラクションを、よりディズニーらしいものに変更しました(例:「マルホランド・マッドネス」→「グーフィーズ・スカイスクール」)。

– 「リトル・マーメイド〜アリエルの海底アドベンチャー」が新設され、クラシックなディズニー物語を没入型アトラクションとして提供しました。

– スティーブ・デイビソンが開発した「ワールド・オブ・カラー」ショーは、パークの夜間の魅力を高める重要な要素となりました。

– 約1,200基の噴水、火、霧、水上投影を駆使した30分近いショーは、パークに夜間もゲストが滞在する理由を作り出しました。

III. 道路に触れる

– 「カーランド」というコンセプトが、ジョン・ラセターの「カーズ」映画の成功により「カーズランド」へと発展しました。

– 「オーナメント・バレー」の山々を含む精巧な環境デザインにより、映画「カーズ」の世界を再現しました。

「ラジエーター・スプリングス・レーサーズ」は、ダークライドと高速レースを組み合わせた革新的なアトラクションとなりました。

– 「ルイージのフライング・タイヤ」は残念ながら期待通りに機能せず、後に「ルイージのロリッキン・ロードスター」に置き換えられました。

– 3D仮想現実技術を用いた「DISH」(デジタル・イマージョン・ショールーム)が、アトラクション設計の効率化に貢献しました。

IV. 「オン・ポイント」

– 改装は段階的に公開され、ゲストに進捗を感じさせる戦略が採られました。

– 「ブエナ・ビスタ・ストリート」は1920〜30年代のロサンゼルスを再現し、パークへの入口となる「第一幕」として機能するよう設計されました。

– ボブ・アイガーのCEO就任から5年以上かけた改装プロジェクトは、2012年6月15日に「ブエナ・ビスタ・ストリート」と「カーズランド」の同時オープンで完結しました。

この改装により、パーク全体の雰囲気が変わり、ゲストの滞在時間が増加しました。

– イマジニアたちは何千時間もプロジェクトに費やした後、次のプロジェクトへ移行することに「別離の不安」を感じました。

この章から読み取れる重要なポイント:

1. ディズニーパークの本質は、単なる物理的な施設ではなく、「共有される瞬間や思い出」を創り出すことにあります。

2. 財務分析だけでなく、ブランド価値長期的なゲスト体験という視点で投資判断をすることの重要性が示されています。

3. 「ディズニーらしさ」は魔法の要素だけでなく、誠実さや温かみ、物語への没入感から生まれるものだという認識です。

4. 失敗(ルイージのフライング・タイヤ)からも学び、新しい解決策(ロリッキン・ロードスター)を生み出す柔軟性と創造性がイマジニアリングの強みです。

5. パーク全体を一つの「物語」として捉え、入口からの「第一幕」を含めた全体構成を重視する姿勢が成功の鍵となりました。​​​​​​​​​​​​​​​​

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