STEP6:プロトタイプをつくる
ここでは人生の検証をおこないます。
“自分自身を見つけたい人に”
自分がどういう者であるか理解したい人は、次のような問いを自分に向け、真摯に答えてみればいい。
これまで自分が真実に愛したものは何であったか。自分の魂を高みに上げたものが何であったか。何が自分の心を満たし喜ばせたか。これまでにどういうものに自分は夢中になったか?
これらの問いに答えたとき、自分の本質が明らかになるであろう。それがあなた自身だ。
ニーチェ『ショーペンハウア』より
[仕事ばかりの半生を後悔する女性がつくったプロトタイプ]
35年間、ハイテク業界で営業幹部として華々しいキャリアを築き全てをやり終えた。友人たちの多くが仕事以外の活動に励んでいた。趣味を仕事に変えたひと。創作活動を今ではフルタイムでやっているひと。彼女には「別になにか」がなかった。女手ひとつで子どもを育て、その子どももようやく成人し、彼女自身ももうすぐ老後を迎えようとしていた。どこから手をつけよう?
彼女はデザイナーのように考え、小さな実験(プロトタイプつくり)をくり返し、前進の道を築くことで一歩ずつ現在の人生をデザインしていった。
彼女は慎重に選んだ実体験を積み重ねていけば次の道が見つかると信じていた。
〈なぜプロトタイプをつくるのか?〉
プロトタイピングは人生のさまざまな選択肢を実体験という形で視覚化でき未来を想像できるから。物理的な実体験が必要で、実体験で前に進むのに必要なデータを手に入れていくことだ。
[要約]プロトタイプをつくる目的
- 的確な疑問を掲げ
- 実体験をする
- 自分自身の思い込みをあばく
- 早めに失敗し、失敗を前進の糧にする
- 未来に近づける
- 自身や他者との共感を築く
…つくらないと時には大きな代償を伴う
(ある女性の話)
企業の人事部で働いてきたエリスは、人生を変える覚悟ができていた。食通の彼女はイタリア料理が大好きで、トスカーナでの体験が忘れられず、おいしいコーヒーとトスカーナ料理、カフェ併設のデリを経営するのが夢だった。…資金も貯まり、レシピも揃い、店舗予定地も見つかり行動を開始した。…開店後、大繁盛。がすぐに憂うつになる。
彼女は経営者としては不向きであることを苦労の末に思い知らされた。スタッフを雇うこと、在庫管理、発注業務、メンテナンス…。少しも楽しくない。彼女は行き詰まり、結局は店を売却し、別の道に進んだが、行き着くまでは茨の道だった…という話。