2.羅針盤を用意する

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少しの悔いもない生き方を

 今のこの人生を、もう一度そっくりそのままくり返してもかまわないという生き方をしてみよ。

『超訳 ニーチェの言葉Ⅱ』(フリードリヒ・ニーチェ / 白取春彦 編訳)

哲学者ニーチェの言葉とおり生きることは、正直言ってむずかしい。しかし、人間は誰しも「創造力」は生来もちそなえており、今からでも取り戻すことは可能だと説く言葉が本当なら、状況は一変する。〝はじめに〟でご紹介した書『クリエイティブ・マインドセット』、そして『スタンフォード式 人生デザイン講座』(早川書房)を再三読了して、確信が芽生えました。

〝たとえ、今どんな状況に置かれているとしても、「第二の人生」を築いていける。そしてそのデザインする道具は、誰ひとりなく持ち備えている。〟

昨今、書店でお目にかかる『デザイン思考(デザイナーの視点で未来を創造する思考法)』内容のプロセスを〝ライフデザイン〟に場を置きかえ、提案してまいりたいとおもいます。

世間を超えて生きる

世の中を超えて生きるとは、まずは、自分の心や情のそのつどの動きによって自分があちらこちらへと動かないということだ。…これができるようになると、世間や時代のそのつどの流れや変化に惑わされないようになる、そして確固たる自分を持ち、強く生きることができるようになるのだ。

ニーチェ『善悪の彼岸』

「人生の旅の目的はシンプルで、わたしたちが人生に求めるものは、だいたい共通していて〝健康で長生きできる人生、楽しくてやりがいのある仕事、愛情豊かな関係、…その旅の道中を大いに楽しむこと〟ところが、それを手に入れる方法となると、ひとによってバラバラなのが現実だ。」(『スタンフォード式デザイン講座』早川書房)

では、確固たる自分を持つには何が必要なのか。

見方を変えると答えが見えてくる

デザイナーの持ち備える道具をそろえて、実行すれば答えは見えてきます。まずはその一つ『視点の転換』。〝デザイン思考〟では、常々「問題を出発点にするな。人間を、共感を出発点にしよう」と言う。この「視点の転換」は、デザイナーが持ち備えるもっとも大事な道具(マインドセット=ものごとの捉え方)で、ライフデザインでも、この〝視点の転換〟を頻繁につかう。 人生は成長と変化の連続で、行き先があるわけでもない。最大の視点の転換は、『人生を完璧に計画するなんて不可能。人生に唯一の正解なんてない。だからこそ人生はおもしろい』(『スタンフォード式デザイン講座』)… 人生はモノではなく、体験だ。その体験を自分でデザインして楽しむこと…それこそが生きる楽しみだといえる。

視点を絶えず、別の視点でとらえなおす〝癖(クセ)〟と言えばわかりやすいだろうか。…嫌な思いを感じたら、即座に〝美麗なメロディ〟を思い浮かべ視点を変えるといった、発想と視点を変えるクセを持ち備えることを指し、デザイナーが行きづまりから抜け出す方法と言える。(もっとも、この本に触れるまでは、まさか方法論としてアメリカで体系化されている技法とは知らなかった。)

人生がうまくいく5つのルール

デザイン思考にはいくつかのマインドセット(意識としてのとらえ方)があり、本書(『スタンフォード式デザイン講座』)の捉え方には、私も同感なので紹介したいとおもいます。

ライフデザインに活かす5つのツール

・興味をもって(好奇心)

・やってみる(行動主義

・視点をとらえ直す(視点の転換)

・人生はプロセスだと理解する(忍耐力)

・デザインはチームから生まれる(共に創造する)

自家製の羅針盤をつくる

人生を旅するにあたっての不可欠な道具、自家製の羅針盤を用意しましょう。

羅針盤をつくる道具はふたつ、人生観と仕事観ですね。

この自分としての仕事観、人生観を見つめ問いただすことは、とても重要だ。

〝仕事はなんのため?…なぜこの仕事をしてるんだ?…価値ある仕事はなに?〟

〝この人生で価値のあるものは、、生きがいは?…〟

「仕事観と人生観を書き出し、(本書で提案する)簡単な演習を終えれば、(自身の)コンパスが手に入り、理想の人生に向かって歩みだせる。…といっても、心配は無用、、。仕事観と人生観はつねに変わっていく。(世代によって)仕事観と人生観が大きくちがうのは当然。一生涯使えるコンパスを見つけようなんて気負う必要はない。しばらく使えるコンパスが見つかればそれでいいのだ」(『スタンフォード式人生デザイン講座』著者:ビル・バーネット&デイヴ・エヴァンス)

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